お茶の種類

緑茶やほうじ茶、紅茶はもちろん、ウーロン茶など、ちょっとした休憩や食事の後に、私達は必ずと言ってよいほど何らかのお茶を飲んでいます。けれども、様々な種類のお茶を毎日飲んでいるにもかかわらず、お茶がどういうもので、どうやって作られているのかを知っている人は少ないのではないでしょうか。

 

今回は、お茶初心者の方に、お茶について少しでも知ってもらうために、お茶の種類や見分け方といった基本について詳しく解説していきたいと思います。

 

お茶は「チャ」の樹の葉

「チャ」というものをご存じでしょうか?

 

「チャ」というのは、飲み物としてのお茶ではなく、植物としてのお茶を指す時に使われる呼び方です。ツバキ科ツバキ属の永年性常緑樹であり、学名は「カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)」と言います。カメリアというのはツバキのことで、ツバキ属ではなくカメリア属と言う場合もあります。

チャ(チャノキ)チャの葉

 

ちなみに、ツバキやサザンカもチャと同じ属に入るため、葉や葉脈の形状が似ています。

ツバキとサザンカの葉

 

チャの寿命は長く数十年以上もあり、年間降水量が1300~1500mm以上ある比較的温暖な気候を好みます。弱酸性の土壌でよく育ち、日本でもお茶の産地として知られる場所は、関東ローム層など火山灰の影響を受けた水はけの良い酸性土壌です。

 

一口にチャの樹と言っても、種類はとても多く、ツバキ属の仲間だけでも数百種類を数えます。うち、飲用に利用されているものは中国種とアッサム種で、そこから多くの品種が品種改良や自然交配によって生まれています。中国種の方が比較的寒さに強く、アッサム種は温暖な気候を好むため、日本では中国種が栽培されています。

中国種とアッサム種の茶葉

 

中国種の葉は長さ3~5cmくらいで小さく、アッサム種は長さ10~18cmと見た目も大きく違い、含まれる成分も対照的です。中国種はカテキン含有量が少なく、アミノ酸含有量が多いのに対し、アッサム種はその逆で、カテキン含有量が多く、アミノ酸含有量が少ないのが特徴です。

 

しかし、この2種は自然交配をすることもあり、近縁種であると知られています。

 

他にも、同じツバキ科のタリエンシスやイラワジエンシスも飲用に使われますが、成長すると樹高が10mを超えるため育てるには不向きな上、成分や風味がアッサム種や中国種のシネンシスほど豊かではありません。チャとツバキを遺伝子組み換えで掛け合わせた交配種「チャツバキ」も、飲用するには風味や成分に乏しく、実用化には至りませんでした。

 

アッサム種と中国種が、お茶として世界中に広まったのには、風味や成分が他の種よりも豊かだったからなのです。また、飲用方法だけに着目すれば、ドクダミ茶やハーブティー、麦茶なども煎じて飲むことから、お茶と呼ばれてはいますが、植物学上の「チャ」とは全く違うものです。

 

お茶の種類の分類方法を整理する

植物学上のチャを使うお茶については、様々な分け方や呼び方が存在します。よく使われるのは、その産地(国)で分ける方法でしょう。

 

例えば、アッサム茶やダージリン茶などインドで作られるのは「インド茶」、スリランカで作られるウバ茶などを「セイロン茶」、中国で作られるものは「中国茶」、そして日本で作られる「日本茶」と呼ばれます。

 

また、飲み方などでも分けられます。まずは「葉茶」で、緑茶やウーロン茶、紅茶などを飲む際に煎じる茶葉のことです。

 

その茶葉を固めたものを「固形茶」と言い、鎌倉時代、栄西禅師がこの固形茶とチャの種を日本に持ち帰ったのが日本のお茶の始まりと言われています。団茶(だんちゃ)とも言い、緑茶を固めたものは緑団茶、紅茶ならば紅団茶と呼びます。

 

最後が「粉茶」です。挽いて粉にしたものです。すぐに思い浮かぶのは抹茶ですが、こちらは普通の緑茶ではなく、碾茶(てんちゃ)を挽いたものです。

 

お茶の分類方法は他にも、茶葉の採取時期や大きさなどがありますが、分類方法の中でも一番身近なのは、紅茶や緑茶、ウーロン茶など、お茶の製造方法による分け方でしょう。

 

日本人は茶畑のあの鮮やかな緑を見ているせいでしょうか、緑茶には緑茶の樹、紅茶には紅茶の樹があると思っている人も時々いるようですが、緑茶、ウーロン茶、紅茶、黒茶も皆同じチャから作られます。見た目や香りは大きく違いますが、それらは製造方法の違いから来るものです。

 

発酵させるかさせないかでお茶が変わる

摘みたての茶葉は、鮮やかな緑色をしていますが、元々持っている酸化酵素が茶葉の中のカテキンを酸化すると、緑から茶色に変わります。この酸化酵素が働く過程を、製茶では「発酵」と呼びます。

 

摘んでから蒸気をかけて酸化酵素を殺してしまうと、茶葉は緑色のまま「緑茶」になります。一方、酸化酵素を殺さず、摘んだ茶葉を揉むと発酵が始まり、茶葉の色が変化します。すっかり茶色に変化したものを「紅茶」、そこに至る前に発酵を止めたものが「ウーロン茶」です。

 

品種による向き不向きはあるものの、日本産の茶葉でも紅茶は作れますし、またその逆インドやスリランカ産の茶葉で緑茶を作ることも可能です。

 

日本産の茶葉「やぶきた」は本来緑茶用に作られるものですが、これを使って作られた「和紅茶」もあります。入れた時のお茶の色を水色(すいしょく)と呼びますが、和紅茶の水色は、普通の紅茶と変わりません。

 

ただし、カテキンの含有量はアッサム種よりも少ないので、渋みの少ない穏やかな味で、ストレートティーとして楽しむ方が良いとされています。

 

逆に、普通は紅茶にするインドやスリランカのアッサム種で緑茶を作ると、こちらはカテキンの含有量が多くアミノ酸は少なめなので、渋く、うま味は少ないお茶になります。

 

製茶方法を変えれば皆、緑茶にもウーロン茶にも紅茶にもできますが、元々緑茶には緑茶に合った品種、紅茶には紅茶に合った品種が栽培されているので、本来の風味とは違ったものになります。

 

世界で1番飲まれているお茶は「紅茶」

「お茶と言えば緑茶」という国は、実は世界では少数派です。日本、中国、ベトナム、ミャンマーなどの緑茶をよく飲む国々以外では、「お茶と言えば紅茶」です。

 

世界でのお茶の生産量を見ても紅茶は全体の7割を占め、イギリスは勿論、イスラム諸国でも多く飲まれています。一方日本では紅茶消費量は緑茶の10分の1と、世界的に見るとかなり少なめです。

 

意外なのは、日本では中国茶の代名詞のように思われているウーロン茶の消費量が、中国本土よりも台湾の方が多いということでしょう。中国で日常的に飲まれているのは、ウーロン茶よりも緑茶です。対して台湾では、ほぼ全国民が毎日ウーロン茶を飲んでいると言ってもよいくらいなのです。

 

お茶の総生産量では中国が4割、インドで2割強と半数以上を占めますが、一人当たりの消費量ではトルコが第1位、アフガニスタン、リビアと続き、イスラム諸国とイギリス、アイルランドで上位を占めています。イスラム諸国では、宗教的に飲酒が禁じられているため、会合の際などには紅茶が振る舞われるという事情も大きいでしょう。

 

お茶を分ける重要要素「発酵」とは、酸化酵素の働きのこと

お茶は製造方法によって、大きく4種類に分けられます。まずは緑茶などの「非発酵茶」、ウーロン茶は「半発酵茶」で、紅茶は「発酵茶」となり、ここに前の3種類とは少し違った系統の「後発酵茶」が加わります。それぞれについて詳しく説明する前に、まず製茶における「発酵」の意味を確認しておきましょう。

 

一般的に発酵と言うと、乳酸菌や酵母のような微生物が、米や乳製品などの有機物に作用した結果、米が酒になったり、牛乳がヨーグルトになったりと、人間にとって有用なものになった場合を指します。微生物が作用しても、人間にとって有用なものにならなければ、「腐敗」と呼ばれます。

 

一方、お茶で言う「発酵」は、葉の中に含まれる酸化酵素がカテキンを酸化することで起こる現象のことを言います。酵素による酸化は化学変化であり、微生物は介在しません。そのため、厳密な意味では発酵ではなく付加反応と呼ぶべきなのですが、製茶の工程では昔から習慣として発酵と呼ばれているのです。

 

茶葉の発酵は、2つの工程それぞれにおける化学反応によるものです。1つ目は、摘んだ生の茶葉を広げ、1晩ほど干して萎れさせる「萎凋(いちょう)」という工程です。水分を飛ばすことで茶葉の中の各成分の化学反応が促進され、甘みや香りが出てくる大切な工程です。

 

2つ目が、萎凋によって萎れた茶葉を揉む「揉捻(じゅうねん)」という工程です。機械や手を使って行います。適度な強さで揉んでいくことで茶葉中の成分が出やすくなり、元々茶葉の中で別々に存在している酸化酵素とカテキンが反応し、カテキンが酸化されて茶葉の色を緑から褐色に変化させていくのです。

 

摘んだら蒸す!緑茶の仲間は「非発酵茶」

ほうじ茶、玄米茶、抹茶などを含めた緑茶の仲間は、発酵の過程を経ない非発酵茶です。酸化酵素の働きを止めて製茶され、基本的には茶葉は緑色です。それぞれ栽培や製茶の方法、茶摘みの時期などが違います。

 

覆い隠して栽培される「玉露」は緑茶の王様

緑茶の中でも玉露は特別なものです。まろやかなうま味や独特の香りは勿論のこと、水色の緑の美しさも、玉露ならではのものです。

 

玉露は栽培時から他のお茶とは違います。収穫の2週間ほど前から、簀子(すのこ)や簾(すだれ)などを使って日光を遮って育て、新茶の時期(5月1日、2日頃)に収穫される一番茶を丁寧に摘んで作ります。摘むのは枝先にある「一芯二葉」のみです。

一芯二葉

 

植物は日光を求めて伸びるものですから、日光を遮られると、組織を固くすることよりも伸びることを優先させます。その為、新芽は柔らかいまま成長します。日光を遮ることで変化するのは柔らかさだけではありません。茶葉に含まれる成分も変化します。

 

まず、クロロフィル(葉緑素)は日光を遮られると増加します。クロロフィルは茶葉の緑色の素ですから、濃い緑色のお茶になります。通常、茶葉には0.5%程度のクロロフィルが含まれていますが、玉露の含有量はその2倍以上です。茶のうま味成分であるアミノ酸類もまた、日光を遮られると増加し、逆にカテキンは減少します。

 

根で作られ葉で蓄えられるアミノ酸類は、日光に当たってカテキンを生成するのですが、日光を遮られるとその働きが抑制されてアミノ酸類はそのまま残るため増加し、逆にカテキンは生成されなくなるので減少することになるのです。玉露のカテキンは、通常の茶葉の2分の1以下になります。

 

カテキンは渋み、アミノ酸成分はうま味を出すものですから、こうして作られた玉露は渋みが少なく、まろやかな味になり、色は鮮やかな緑色となります。そして、香りも普通のものとは違う「覆い香」と呼ばれる青っぽい独特の香りになります。

 

「かぶせ茶」も、玉露によく似た作り方をします。違いは日光を遮る期間の長さで、こちらは1週間ほどです。作るのも玉露ほど大変ではなく、味も比べれば少し落ちますが、飲みなれていなければ違いは分からないでしょう。

 

玉露やかぶせ茶では、日光を遮ると言っても90%ほどで、残りの僅かな光でもって光合成が行われ茶葉は美しい緑色になりますが、100%遮って育てるものもあります。この場合、太陽光が全くないので光合成はできず、茶葉の色は白っぽくなります。「白葉茶」と呼ばれ、玉露より更にうま味の強いお茶になります。

 

完全に日光を遮って育てられるため、アミノ酸類は玉露よりも更に増加し、中でも増加するのがアルギニンです。よく聞かれる名前ではありますが、アルギニンそのものは特に美味しいものではありませんが、お茶に含まれると、その味を素晴らしく向上させるのです。その理由については、まだはっきりとした研究結果は出ていません。

 

何もかぶせないで収穫する一番茶が「煎茶」

簾(すだれ)をかぶせて畑を覆ったりすることなく、普通に育てた新芽を新茶の時期に収穫し、40秒程度蒸してから製茶したものが煎茶です。煎茶は日本人にとっては一番馴染み深く、またよく飲まれているお茶ですが、入れ方次第で玉露に近づけることも番茶と変わらなくなってしまうこともあります。

 

煎茶と玉露はどちらも5月の八十八夜あたりに収穫する一番茶です。八十八夜というのは立春から数えて88日目という意味です(5月1日、2日頃)。この時期の茶葉には寒い季節に蓄えられた栄養がたっぷり残っているため、美味しい茶葉になるのです。摘むのは、枝の一番先にある一芯二葉、もしくは一芯三葉の部分のみです。

一芯二葉と一芯三葉

 

摘んだ茶葉に蒸気をかけて酸化酵素を殺したのち、揉んでから乾燥させ、製茶します。蒸気をかける時間は、本来は1分くらいですが、近年は2~3分間蒸気をかけた「深蒸し煎茶」というものもよく出回っています。長く蒸すため茶葉の成分が出やすくなり、お茶の水色は鮮やかに、入れ方によって味が変わることも少なくなるので人気があります。

 

二番茶以降のお茶「番茶」

5月に一番茶が摘まれた後も、茶摘みは続きます。5月の後、6月中旬には二番茶が摘まれ、7月下旬に摘まれるものを三番茶、9月以降のものは秋冬番茶と呼びます。番茶というのは、その二番茶以降の茶葉を使って作られるお茶を指します。収穫時期の遅さから「晩茶」「夏茶」などと呼ばれることもあります。

 

夏の日差しを浴びて育つので、植物の特性上、伸びは少し小さくなるものの組織は強くなり、しっかりとした形になります。製茶方法は煎茶などと変わりませんが、茶葉そのものが固いために製茶した茶葉は大きめで、色は煎茶のように鮮やかな緑にはなりません。日光を多く浴びるためカテキンが多くなり、味は渋みが増します。

 

茶葉に含まれるカテキンの量は浴びた日光の量に従って増えるので、一番茶より二番茶、二番茶より三番茶と摘採時期が遅くなるにつれ増えていきます。一方、うま味成分であるアミノ酸類は逆に減少します。光合成をして生み出されたテアニンなどのアミノ酸類は、葉に蓄えられて日光を浴びるとカテキンに変化してしまうからです。

 

番茶の収穫量自体は大変多いものの、全部が利用されることはありません。静岡周辺では二番茶までしか利用されず、狭山に至っては一番茶までしか使われないそうです。二番茶や三番茶は価格が安くなってしまうこともありますが、遅い時期まで摘採してしまうと、翌年の収穫量や品質に悪影響を及ぼしてしまうためでもあります。

 

収穫しても利用されなかった茶葉は、近頃はペットボトルのお茶用に使われています。もちろん、番茶も立派な緑茶の仲間ですから、ちゃんと入れれば最高の番茶を味わうことができます。煎茶や玉露ではまろやかな味を、番茶はさらりとした爽快な味を楽しめます。

 

番茶を加熱して作る「ほうじ茶」

番茶の茶葉を焙じて作るのがほうじ茶です。160~180℃くらいで5分から10分間程度、番茶の茶葉を加熱するのですが、そうすることでほうじ茶独特の香りが生まれます。番茶の中のアミノ酸と糖が反応して生成される匂いで、「焙じ香」と呼ばれています。お茶の店などで漂う何とも香ばしい香りに、覚えのある方も多いのではないでしょうか。

 

糖とアミノ酸を加熱すると、褐色物質が生まれます。化学的にはアミノカルボニル反応、またはメイラード反応と呼ばれるもので、トーストの焼き色や肉を焼いた時の色などもそれに当たります。同時に香ばしい匂いが生まれますが、それはアミノカルボニル反応の副反応であるストレッカー分解と呼ばれるものです。

 

ほうじ茶の香りには、これらの反応によって生まれた複数の成分が含まれています。約20種のピラジン類、5種のピロール類、そして同じく5種のフラン類が含まれていることが現在分かっており、それぞれに独特の香りを持っています。

 

ピラジン類はコーヒーなどにも含まれる、いわゆる香ばしい香りがします。ピロール類は青臭い、ナッツのような匂いがし、フラン類は甘い香りがします。これらが組み合わさり、そこに元々の番茶の香りが加わって、ほうじ茶独特の香りを構成しているのです。

 

香りは香ばしく、味は優しいのがほうじ茶の特徴です。これは渋みの素であるカテキンが、熱せられることで別の物質に変化するためです。焙じる際、170℃~200℃程度の熱が加わるため、昇華点が178℃の物質であるカフェインは昇華してしまうため、カフェインも減少します。結果、夜に飲んでも眠れなくなることはほとんどないという特徴もあります。

 

飲用以外にも、ほうじ茶は煮物などに使われることもあり、なかなかよい味になります。

 

「抹茶」の素は「碾茶」

抹茶に使う茶葉は、玉露と同じように摘採20日前くらいから茶樹に覆いをして育てた一番茶です。玉露と違うのは、収穫後、蒸した後の工程です。生の茶葉を蒸してから揉まずに温風で舞い上げて、風の中で舞わせながら乾かした上、茎や葉脈などの固い部分を除いて更に乾かし、均一な断片状の茶葉にします。これが碾茶(てんちゃ)と呼ばれる茶葉です。

 

碾茶は揉んでいないので茶葉が縮れることがなく、形状としては青のりにも似ています。碾茶の「碾」は挽き臼のことを指し、碾茶を石臼で挽いたものが抹茶です。茶葉の中のアミノ酸は煎茶の2倍の量となり、大変うま味が強くなります。濃茶として飲む場合は苦みや渋みがなく、うま味の強い品質の茶葉が使われます。

 

抹茶は湯を注いで茶筅で泡立てて飲むものですが、粉にした茶葉をそのまま飲めるので、茶葉に含まれるビタミンなど、栄養素も余すところなく摂れることから、健康に良いと注目されています。

 

蒸さずに炒る「釜炒り茶」

緑茶の場合、摘んだ生の茶葉をまず蒸すのが基本ですが、蒸さずに釜で炒る製法をとるお茶もあります。これが釜炒り茶と呼ばれるものです。中国発祥の製法で、龍井茶など、中国の緑茶では釜炒り茶の方が一般的です。日本で作られるものでは、釜炒り玉緑茶がこれに当たります。

 

普通の緑茶では、最後に茶葉の形を細長く整える「精揉(せいじゅう)」という工程がありますが、釜炒り玉緑茶ではそれをせず、回転するドラムの中で風を当てて乾燥させます。そのため、茶葉は細長くならず、丸い玉のように仕上がり、その形状から「かまぐり」とも呼ばれています。佐賀県の「うれしの茶」が有名な他、四国の一部でもこの製法が使われています。

 

緑茶の品種は70種類以上

製茶方法の違いに加え、品種改良やチャの研究開発の結果、茶葉そのものの品種も70種類以上存在します。現在最もよく栽培されているのは「やぶきた」で、国内の全作付面積の75%を占めるほどです。静岡の在来種から発見された品種で、甘く濃い味わいと豊かな香りのバランスの良さに加え、寒さに強く、品質と強さを兼ね備えています。

 

また、成木になるまで時間がかかり、そうそう植え替えなどできない茶樹栽培において、「やぶきた」の育てやすさは大きな魅力でした。「やぶきた」は1953年に登場した後、1960年代に急激に広まりました。現在ほど多くの品種はない時代、このような特徴を兼ね備えた優良種は、とても魅力的だったのでしょう。

 

現在では品種改良の方法なども変化してきており、人々の嗜好やニーズに合わせてどんどん新しい品種が作られています。香りも味も強い「ゆたかみどり」は、現在「やぶきた」に次ぐ栽培面積ですし、「やぶきた」に味や香りが似ている上、寒さや病気にも強い「ふうしゅん」、碾茶・抹茶専用品種として開発された「ごこう」などもあります。

 

現在は栽培面積のトップとなっている「やぶきた」ですが、その植え替え時には、候補としてこれらの新しい品種が選択されることも十分にあり得るでしょう。その結果、日本国内の茶の品種構成は、変化していくかも知れません。

 

ウーロン茶は「半発酵茶」

ウーロン茶は、収穫した茶葉を発酵させて作る発酵系のお茶です。ただ、発酵レベルは緑茶を0、紅茶を10とすると、3~7程度に位置する「半発酵茶」に属します。お茶の発酵は化学的には付加反応なので、半付加茶とも呼びます。半発酵茶の中でも発酵レベル3程度のものは「包種茶(ほうしゅちゃ)」、レベル7辺りのものを「ウーロン茶」と呼びます。

 

お茶の水色は発酵レベルが高くなるほど紅茶に近くなります。したがってレベル3の包種茶の水色は緑茶に近い黄金色になります。包種茶は日本ではあまり見かけませんが、台湾の「文山包種茶」がその中では有名です。

 

一方、ウーロン茶は紅茶に近い水色です。こちらは日本でもポピュラーで、「鉄観音」や「凍頂烏龍茶」の名は聞いたことがある人も多いでしょう。

 

中国茶の発酵による分類を覚えておこう

中国茶には、発酵レベルによる独自の分類があります。発酵レベル0から順に、緑茶(非発酵茶)、白茶(弱発酵茶)、黄茶(弱後発酵茶)、青茶(半発酵茶)、紅茶(発酵茶)と呼んでいます。この中には入りませんが、黒茶と呼ばれる、微生物による発酵を利用して作るお茶もあります。

 

日本ではこのうち青茶(ウーロン茶)以外はあまり見かけませんが、白茶には「白毫銀針(はくごうぎんしん)」、「白牡丹(パイムータン)」、「寿眉(じゅび)」、黄茶には「君山銀針(くんざんぎんしん)」、「蒙頂黄芽(もうちょうおうが)」、「北港毛尖(ほっこうもうせん)」などいくつかの種類があります。

 

ウーロン茶の種類と産地

中国、台湾でウーロン茶(青茶)が作られているのは、中国の福建省と広東省、台湾の3つの地域です。どれも温暖湿潤な気候で、茶葉を作るのに適した地域です。それぞれの地域で、土地に合った様々な銘柄のお茶が作られています。

福建省、広東省、台湾の場所

 

福建省の武夷山脈は銘茶の産地として古くから有名です。武夷山で作られるお茶を「武夷岩茶(ぶいがんちゃ)」と呼びますが、その中でも最高級のお茶が「大紅袍(だいこうほう)」です。中国の紅茶「正山小種(ラプサンスーチョン)」もここで作られます。

 

また、南部の安渓県で作られる「鉄観音」は日本でも有名です。年4回生産されますが、中でも春に作られる春茶が最高と言われています。果実のような豊かな香りが特徴です。その他、生産量の半分程度を占める「水仙」も作られています。このお茶は地域によって製茶方法が異なり、見た目も全く違います。

 

広東省の東部、鳳凰山周辺では「鳳凰単欉(ほうおうたんそう)」、「石古坪烏龍茶(せっこへいうーろんちゃ)」、「太葉奇蘭(だいようきらん)」などが作られています。どれも日本ではあまり知られていませんが、高品質な美味しいお茶です。

 

台湾のチャノキは、福建省から持ち込まれ定着したものです。気候的にもウーロン茶の栽培に適しており、人気のあるお茶がたくさん生産されています。主な産地は2つの地域に分けられ、うち、台北市周辺では「文山包種茶」や「東方美人」などが作られています。

 

「東方美人」は年に1度、梅雨の時期に新芽だけを摘んで作られるお茶で、発酵度は高めです。

 

もう1つの産地、山岳地帯から成る中部の南投県では、生産地の山々の名をそれぞれ冠した「凍頂烏龍」、「阿里山烏龍」などが作られています。どれも硬く、丸い形状の茶葉が特徴で、台湾のウーロン茶として世界的に知られたお茶が多数あります。

 

「発酵茶」である紅茶は、分類方法も様々

摘んだ生葉の水分を飛ばして揉み、高温多湿の部屋で発酵させてから乾燥させたのが紅茶です。茶葉の色も入れたお茶の水色も、ご存知の通り褐色です。水色の濃さは発酵時間に比例し、長時間発酵させるとより濃い色になりますが、香りは逆に減少します。発酵時間が短いと香りは豊かになりますが、水色は緑茶のように薄くなります。

 

紅茶の産地としては、インドのダージリン、アッサム、中国のキームン、スリランカのウバが有名です。ダージリン、キームン、ウバを世界三大紅茶、アッサムを加えて四大紅茶という呼び方があるくらいです。

 

最近はこれらに加え、ケニアやタンザニアなどのアフリカ諸国、中近東のトルコ、アジアではインドネシア、バングラデシュなどの生産量も伸びています。

 

緑茶と同じ様に、紅茶にも一番茶、二番茶と言うべきものが存在します。摘採時期は産地によって違いますが、ダージリンやアッサムでは、一番茶に当たるのが「ファーストフラッシュ」、二番茶に当たるのは「セカンドフラッシュ」と呼ばれます。

 

ダージリンのファーストフラッシュは3~4月頃で、水色の褐色は薄く、緑茶に似ています。渋みは少なく、香りはマスカットフレーバーと呼ばれ、とても爽やかです。生産量は少なく、取引価格は高くなります。

 

5~6月に収穫されるセカンドフラッシュの水色はファーストフラッシュよりも濃く、太陽を浴びることで茶葉中のカテキンが増えて味には適度な渋みが加わり、コクも出てきます。この「メイ・ジューン・ダージリンティー」は、紅茶のシャンパンとも言われるほどで、ダージリンティーの最高級品です。

 

10~11月に摘まれる茶葉は「オータムナル」と呼ばれます。夏を経て茶葉はぐっと成長し、厚さもしっかりとしてきます。水色は濃く、渋みも更に増しており、ミルクティーに向いているとされます。ミルクを入れても負けないくらいの風味があります。

 

東北インドのアッサム茶では、4~5月にファーストフラッシュ、6~7月にセカンドフラッシュが収穫され、オータムナルは9~11月の収穫となります。

 

セイロンウバ茶は、香り高く、鮮やかな赤みを持った大変美しいお茶です。ミルクを加えても美味しく、色もはっきりとしたピンク色になります。この美しい水色は、機械を使って揉むことで作られます。ローターベインと呼ばれる専用の機械を通すと茶葉は小さく裂かれるため、紅茶の色素成分、テアフラビンを短時間で生成できるようになります。

 

結果として発酵時間が短くて済むので、香りも失われずに済み、香りと鮮やかな水色をあわせもったお茶を作ることができるというわけです。

 

生産地によって紅茶を分類する

イギリスは確かに紅茶の消費量では世界のトップクラスに入り、紅茶を嗜む文化やブレンド技術は発達していますが、茶葉そのものを生産しているのは、インドやスリランカ、中国、インドネシアやケニアなどです。全て温暖湿潤な気候の土地で、茶葉の生産に適した条件を備えています。

 

温暖湿潤な気候であることは第一前提ですが、インドのダージリン、スリランカのウバ、ケニアなどでは朝晩の気温差の大きい標高の高い土地ほど、茶葉の質が香り、味ともに高くなると言われています。

 

標高の低い場所の方が育てやすく、収穫量も多くなるのですが、香りが少なくなってしまうのです。これらの茶葉は、フレーバーティーなどに利用されています。

 

紅茶の分類方法は、茶葉の等級、収穫時期、茶葉にした後の製法など様々ありますが、一番よく使われ、なじみのあるものは生産地によるものでしょう。ダージリン、アッサム、ウバなどは全て、インドやスリランカの地名です。

 

インドは茶葉の生産量第1位!

ダージリン、アッサム、ニルギリなど、紅茶の名前と言われてすぐに思い浮かぶこの3つは、インドの地名に由来するものです。ダージリンはインド北東部、ヒマラヤ山脈の裾野にあります。標高の高い地域で朝晩の寒暖差が大きく、香り高いお茶になります。生産量はインド紅茶の75%を占め、名実ともにインド紅茶の代表と言えるでしょう。

 

ニルギリはインド南部の丘陵地帯で、スリランカに近いこともあり、スリランカ紅茶に近い性質を持ち、しっかりとした味わいですが、クセがなく飲みやすいお茶です。アッサムはバングラデシュとの国境に接する地域で、多雨な大平原です。お茶の水色は濃く、味わいも濃いのですがすっきりとした飲み口です。

ダージリン、ニルギル、アッサムの場所

 

ダージリンに茶樹を持ち込んだのは、イギリス人のキャンベル博士です。この地域の気候が中国に近いことから、中国産の茶樹栽培が可能なのではと、1841年に中国種の茶樹を植えたのが始まりです。キャンベル博士の考え通り、茶樹の栽培は見事に定着して広まり、インドは1947年の独立後も、生産量では不動の第1位を誇っています。

 

インド紅茶の全体的な傾向として、北東部のお茶は個性が強く、渋みやコクなどが独特で、南部のお茶はクセがなく、飲みやすいと言われています。また、収穫時期によって味も香りも水色も違ってくることが知られています。

 

スリランカの紅茶は標高でも分けられる

1839年、セイロン島の植物園に植えられたアッサム種の苗木が、スリランカ紅茶の始まりと言われています。

 

この苗木はインドのカルカッタ(今のコルカタ)から持ち込まれたもので、後に中国種の苗木もドイツ人によって持ち込まれ、この2種類で紅茶が作られるようになりました。それがロンドンで評価され、スリランカの紅茶栽培はより盛んになったのです。

 

1年中温暖で雨の多いスリランカの紅茶は、クセがなく、さらりとした飲み口です。スリランカはかつてセイロンと呼ばれており、その名残でスリランカ紅茶はセイロンティーと呼ばれます。また、茶園、製茶工場の標高によって、3種類に分けられることもよく知られています。

 

標高約1300m以上の高地で作られるものは、「ハイ・グロウンティー」と呼ばれ、繊細さと渋みのある香り高いお茶となります。ウバ、ディンブラ、ヌワラエリアがそれに当たります。中でもヌワラエリアは標高1800mで作られ、渋みは爽やか、花のような香りが楽しめる「セイロンティーのシャンパン」と呼ばれることもあります。

 

「ミディアム・グロウンティー」は、標高1300~670mで作られ、しっかりとした味で香りもあり、口当たりも良いお茶です。キャンディという銘柄が有名で、スリランカでは最もポピュラーです。

 

670m以下の低地で作られるお茶は「ロウ・グロウンティー」で、香りは弱いものの味や水色は濃く、代表的品種であるルフナは、独特な香りと風味を持っていてミルクティーにとても向いています。

 

紅茶発祥の地、中国

国内需要では緑茶が圧倒的に多い中国ですが、実は紅茶の発祥の地でもあり、高い発酵技術によって作られる「キームンティー」は、世界三大紅茶の1つに数えられています。上質なキームンは蘭の香りを持ち、ヨーロッパでは「中国茶のブルゴーニュ酒」と呼ばれているほどです。

 

キームンが生まれた安徽省、「正山小種(ラプサンスーチョン)」の作られる福建省の他、雲南省、四川省などが、中国における紅茶の産地として知られています。

安徽省、福建省、雲南省、四川省の場所

 

作り方、製品としての紅茶の分類

茶葉になった後、製品としての紅茶は、大きく分けてブレンドティーとフレーバーティーの2種類に分けられます。ダージリンやアッサム、ウバなどそれぞれの茶葉を配合して作るのがブレンドティーで、茶葉に香りや風味を加えて作るのがフレーバーティーです。普通に手に入る紅茶の多くは、このブレンドティーやフレーバーティーでしょう。

 

「ブレンドティー」はシチュエーションに合わせて飲むべし

茶葉も、その年の天候などによって出来や味に影響を受けます。各紅茶ブランドのティーブレンダーたちは、それらを加味した上で各々のブランドや製品に合わせた均一な味になるよう、配合や割合を調節していくのです。

 

朝食のミルクティーに適したブレンドの「イングリッシュブレックファースト」は、ミルクと合わせることを意識して作られるため、渋めで水色は濃く、午後のティータイムにスイーツと一緒に飲まれることを意識した「アフタヌーンティー」は、渋みを抑えた飲みやすい味にブレンドされます。

 

その他にも、「オレンジペコー」というブレンドティーもあり、これはセイロンティーが多くブレンドされたものですが、同じ名称が茶葉のグレードの名称としても使われており、混同しやすいので気を付けましょう。

 

香りや味を加える「フレーバーティー」

フレーバーティーで最も有名なのはアールグレイでしょう。19世紀にイギリスのグレイ伯爵が愛飲していた中国茶を真似て作られたと言われています。柑橘系のベルガモットの香りが特徴で、殆どはその精油を使って香りづけされています。茶葉は中国紅茶やセイロンティーが使われることが多いですが、ダージリンを使用したものもあります。

 

リンゴの香りや風味を加えた「アップルティー」も、各ブランドで出されているポピュラーなフレーバーティーです。甘い香りの青リンゴ系や甘酸っぱい香りは赤リンゴ系と、香りやフレーバーそのものの違いから、作り方も香りをつけるものからリンゴの皮などのドライピールを加えたものなど、各ブランドでそれぞれ個性あるものが出されています。

 

フレーバーティーは、作り方でも3種類に分けられ、それぞれ特徴があります。茶葉に花や果物の香り成分を吹き付けて作る「フレーバード」は、価格的に求めやすく、ティーバッグなども色々なフレーバーが出ています。茶葉に花びらや果物のドライピールを加えた「ブレンデッド」は、香りだけでなく果物や花そのものの味を味わえます。

 

茶葉本来の香りが残っていた方が良ければ、香り成分を吹き付けるのではなく、吸収させる「センテッド」がおすすめです。茶葉の香りを楽しみながらも、花や果物の香りもほんのりと感じることができます。

 

リーフグレードによる紅茶の分類

紅茶の分類方法で一番知られていないのが、リーフグレードによる分類かと思います。等級区分とも言います。グレードや等級と言ってしまうと、下の方のグレードのものは質が悪いのかと思ってしまいがちですが、形状や特性の問題のため、茶葉の良し悪しとは関係ありません。それぞれに合った利用法をすれば良いのです。

 

リーフグレードは、紅茶の缶や箱など、パッケージに書かれています。「FOP」「OP」「S」など、アルファベットで書かれていて、茶葉の大きさや形を示します。トップに当たるのは「FOP」で、フラワリー・オレンジ・ペコーと読みます。10~15mmの長さの茶葉で、新芽が多く含まれています。フラワリーという名の通り、花のような香りです。

 

その他、OP(オレンジ・ペコー)、P(ペコー)、PS(ペコー・スーチョン)、S(スーチョン)、BPS(ブロークン・ペコー・スーチョン)など11のグレードがあり、それぞれ茶葉の固さ、形状、大きさによって分けられます。大体においてグレードが下がるほどに茶葉は細かくなり、1番下のグレードはD(ダスト)と呼ばれ、1mm以下の細かい茶葉を指します。

【紅茶のリーフグレード】
グレード 概要
FOP
(フラワリー・オレンジ・ペコー)
10~15mmの長さの茶葉で、新芽を多く含む。新芽の割合が多いほど上級とされる。
OP
(オレンジ・ペコー)
7~11mmの長さの茶葉で、細長くねじられている。ゆっくり抽出するのが良いとされている。
P
(ペコー)
5~7mmの長さの茶葉で、OPよりも硬い葉で、太く短くねじられている。OPより香り水色ともに濃い。
PS
(ペコー・スーチョン)
Pより硬く、太く短い茶葉。Pより香り水色ともに弱い。
S
(スーチョン)
PSより硬く、丸く大きい茶葉。くせのある独特の香りが特徴の中国の紅茶「正山小種」に多く使用される。
BPS
(ブロークン・ペコー・スーチョン)
PSを細かくカットしてふるいにかけた茶葉。
BP
(ブロークン・ペコー)
Pを細かくカットしてふるいにかけた茶葉。茶葉の大きさはBPSより小さい。
BOP
(ブロークン・オレンジ・ペコー)
OPを細かくカットした2~4mmの長さの茶葉で、新芽を多く含む。茶葉の大きさはBPより小さい。香り高く、水色も濃い。
BOPF
(ブロークン・オレンジ・ペコー・ファニングス)
BOPをふるいにかけた1~2mmの長さの茶葉。ブレンドティー、ティーバッグに使用される。
F
(ファニングス)
BOPをふるいにかけた時に落ちる小さな茶葉。
D
(ダスト)
1mm以下の最も小さい茶葉。ふるい分けの際に一番最後に残る茶葉。

 

茶葉が細かいほど、色や香りは出やすくなるのが一般的で、抽出時間は短めにした方がよく、逆に大きな茶葉を使う際はじっくりと抽出するものです。使う茶葉のグレードを知っておくと、適した抽出時間やお湯の温度が分かるので、紅茶をおいしく入れる役に立ちます。

 

黒茶は微生物で発酵させる「後発酵茶」

前述の通り、お茶における発酵と生物学的(科学的)な発酵は違うものですが、唯一例外なのが黒茶と呼ばれる種類のお茶です。後発酵茶とも呼ばれ、微生物やカビによる好気発酵、嫌気発酵を利用して茶葉を発酵させて作ります。

※好気発酵:生育に酸素を必要とする菌を使用して発酵させる方法
※嫌気発酵:生育に酸素を必要としない or 酸素があると死滅する菌を使用して発酵させる方法

 

日本では、愛媛の石鎚黒茶、高知の碁石茶、徳島の阿波晩茶、富山の富山黒茶(バタバタ茶)の4種類が知られていますが、黒茶は作るのが大変な割に需要が伸ばせず、生産者が減ってしまったために現在は稀少なお茶となってしまいました。

愛媛の石鎚黒茶高知の碁石茶
徳島の阿波晩茶富山の富山黒茶

※阿波晩茶は、「阿波番茶」と記述する場合もありますが、緑茶の「番茶」と紛らわしいため、「阿波晩茶」の記述がスタンダード化しつつある。

 

海外では、中国のプーアル茶、茯茶(ふーちゃ)、竹筒酸茶、食べるお茶とも言われるミャンマーのラペソー、タイやラオスで作られるミアン(ミヤン)などがありますが、プーアル茶がやや有名なものの、やはり種類は多くありません。

プーアル茶茯茶竹筒酸茶
ラペソー

※ラペソー、ミアンは、飲用ではなく惣菜の材料として使用されることが多い。

 

富山黒茶(バタバタ茶)は、カビによる好気発酵、阿波晩茶は微生物による嫌気発酵、石鎚黒茶と碁石茶は好気発酵、嫌気発酵を組み合わせて作られます。嫌気発酵では酸味が加わるなど、発酵の方法によって色や味、香りは独特のものになります。

 

かつては需要も低かった黒茶ですが、最近の発酵食ブームの影響で、黒茶がもたらす様々な健康効果が注目されるようになりました。

 

高血圧や動脈硬化、血糖値及び腸内環境の改善などに効果があるとされ、需要が増えた結果、稀少な黒茶が更に手に入れにくくなっています。黒茶の成分、作用については解明されていない点も多く、研究が待たれています。